適性検査とは

企業が従業員の採用に当たり、求める人材としての適性があるかを見極めるための一つの指標として、実施するものです。

「企業は人なり」、企業の業績発展のためには優秀な人材の確保は不可欠です。
ヒューマンキャピタル研究所の適性検査(HCi-AS)のメンタルヘルスの出現率の推移をみると、ここ20年で応募者のメンタルヘルスの劣化が進みストレス耐性が弱い応募者が倍増していることを示しています。当社の東南アジアでの検査結果でも、緯度が下がる(赤道に近づく)に比例して、あきらかにストレス耐性は下がっています。
現代人には、様々なストレスがかかりますが、気温差もその一つです。気温変化の少ない南の国では、温度差ストレスがかからず、従って耐性もできにくいと思われます。
日本人応募者のメンタルヘルス出現の増加は、温暖化進行の証左と言えるかもしれませんね。

メンタルヘルス出現率の増加は、入社後のうつ症状による欠勤や人間関係のトラブルなどが発生の温床となり、発症した時の対応に多大な労力と費用がかかります。
採用選考に当り、入社前のリスク回避をサポートする適性検査の重要性が増しております。

中途採用や就活で使われる適性検査とは?何のためにやるの?

応募者が会社の業績に貢献できる人材なのかを客観的に判断するため、次のような判断材料を提供することが目的となります。
・企業が求める職務要件を遂行できる能力を身につけているか?
・職場環境で、能力を発揮する前提となる、本人の資質・性格や持っている個性、職務・業務に対する適応性や可能性はどうか?

中途採用は、新卒採用とは異なり業務知識と経験を活かし「即戦力への期待」となります。
一般的に、業務遂行能力に重点が置かれますが、資質・性格の見極めも重要なポイントです。

中途採用や就活で使われる適性検査の種類

適性を見極める要素としては、大きく2種類に分けられます。

1つ目は、入社後、「業績をあげ得る資質と潜在的可能性」を判定するための「資質・性格に関わる情報」です。一般的に「性格検査」と呼ばれています。
採用担当者からは、「30分程度の面接では分からない」との声をよく聞きます。この課題を支援するツールとなります。
性格検査で判断されるのは、応募者の人間像です。日頃から何に興味を持ち、どのように考え、どのような行動をとりやすいかを提示し、企業での採用選考の採否に役立てるものです。

2つ目は、入社後、「職務を遂行する能力」を判定するための「知識・能力に関わる情報」です。一般的に「能力検査」と呼ばれています。
基礎学力、論理的思考、社会通念理解の常識力などの評価がこれに当たります。
卒業学校名や入試偏差値からは見えてこない、募集職種に必要な知識・能力の有無を見極めるために利用されます。

中途採用では、「能力検査」の比重が高くなるのは言うまでもありません。

能力検査の検査方法

主に、能力適性検査をは4つの形式に分けられます。

(1) 一般能力テスト
長年の学習経験で培われたもので基本的な語彙や演算、論理的思考、推理、知覚の速さや正確さなどで測定されます。
「職務遂行能力」として、課題解決場面において一般的に発揮される能力を検査するものです。

(2) A式・B式
A式は言語を使った設問で、B式は図形や記号を使った設問となります。
図形を用いた空間把握や正確さが測定され、言葉や文化的背景に左右されない特徴があります。

(3) パワーテスト・スピードテスト
読解力や論理的思考力など、高度かつ複雑な能力を測定するものです。
一つの設問ボリュームが多く検査時間が長くなり、回答する力(パワー)が診断されます。
「スピードテスト」は、空間関係把握能力や知覚の速さ・正確さなど定型的作業能力を測定するもので、問題は容易だが問題数が多いのが特徴です。

(4) 客観式・記述式
客観式は、用意された回答から正解を選択する設問でコンピュータ処理が可能となるものです。
一方、記述式は名前の通り“記述”するもので、こちらは人間が採点することになるため、採点者の主観が入ったり、同一採点者であっても時間軸で採点基準が変化したりする恐れがあり客観性に欠けます。

これらの形式に、優劣はありません。
検査の目的と採用する検査ツールの有効性や実績などについて情報を集め、自社に合ったツールの採用が肝要となります。

性格検査の検査方法

性格検査は、大きく3つの形式に分けられます。

(1) 質問紙法
広く使われている方法で、設問に対して「はい」「いいえ」のような二者択一で回答する検査方法です。
設問内容は被験者の日常行動を問うものや情緒面の診断を問うものが多く出題されます。
これによって被験者の人物像を投影した記述がなされたり、「適」「不適」が数値として表現されたり性格検査としては最も利用実績の多い検査方法です。
 新卒を対象に行なう場合は、被験者の社会経験や質問読解力、自身の内観力不足により客観性に欠ける回答となる場合があり、その判定に関する正確性が損なわれる恐れがあります。
従って、新卒者への設問には充分な配慮が必要となります。
同時に、「自身をよく見せよう」と日常行動をは異なる回答を見抜く仕組みを備えていることも重要な点となります。
「一対比較法」など、価値の偏重がなく正解のない設問や回答間の矛盾から偽回答を見抜く仕組みが備わっているものもあります。

(2) 投影法
一般的に「ロールシャッハ・テスト」として知られているものです。
左右対称のインクのシミから被験者が想像したイメージからその人物の人格を分析します。

(3) 作業検査法
日本では、この検査法としては「内田クレペリン検査」が最も普及しているもののひとつです。
簡単な一桁の足し算を1分毎に行を変えながら、休憩をはさみ前半と後半で各15分間ずつ合計30分間行います。
全体の計算量(作業量)、1分毎の計算量の変化の仕方(作業曲線)と誤答から、受検者の能力面と性格や行動面の特徴を総合的に測定します。
このように、ある一定の同じ作業を長時間続けることによって被験者の作業能力パターンを割り出し、傾向と適性を見出すための方法です。

中途採用や就活で使われる適性検査の企業側のメリットとは?

中途採用に適性検査を利用することは、企業側に次のようなメリットがあると言えます。

(1) 応募者の資質や適性を提示する
履歴書などの応募書類や面接などでは把握しきれない応募者の「資質や適性」を知ることができます。
短時間の面接では、応募者の資質や適性を十分に把握できません。補完するものとして重要な役割を果たします。

(2) 客観的に評価する
適性検査の結果を参考にしながら面接することにより、外観や学歴にとらわれることなく、客観的な情報を下に面接をすることができます。
中途採用では面接慣れしている応募者が多いことは容易に想像できます。
中途採用では、本人の資質や適性をどこまで正確に把握できるかが鍵となります。

(3) 評価のばらつきを抑える
採用の合否判定では面接官によって、同じ応募者への評価がばらつくことがあります。
適性検査の結果を共有することで、客観的データに基づく人物評価が可能となります。

中途採用や就活で使われる適性検査の被験者側のメリットとは?

多くの企業で使われている適性検査は、臨床心理学などの理論と長い利用実績に裏打ちされた客観性を担保されています。
従って、差別や偏見が排除された客観的データで評価されるのがメリットとなります。
多くのツールでは、応募者が適性検査で自身をよく見せようとすればする程、評価が悪くなるように仕組まれています。
応募したい企業および職種が求めている人材像を理解し、その上で自身の資質・適性を自己分析しギャップを知っておくべきです。
このギャップを理解し、日々の思考・行動を通して長所を伸ばし短所を抑える必要があります。
日々の積み重ねが自分自身を磨くとこになり、採用への近道となります。

ヒューマンキャピタル研究所の適性検査

HCiの適性検査は、人事の各場面で皆様の意思決定の支援ツールとして4つの適性検査を提供しています。

(1) [HCi-AS] 採用面接支援(職務適性・ストレス/メンタル診断・検査・テスト)
採用面接時に応募者をより良く理解する目的で開発されました。
人材の業績につながる力(1・目標追求力、2・対人力、3・主体性)を診断することにより、本当に企業に必要な人材か否かを報告書としてお送りします。
適性検査の専門企業として34年、「診断結果報告書が受検者本人を的確に表している」と非常に高い評価を得ています。
報告書が当たっているから、参考になる。「当たっていない報告書」を見ても参考にはなりません。
高い妥当性のAS検査は、採用選考の強力なツールとなります。

「採用面接支援(HCi-AS)紹介ページ」はこちらへ
「採用面接支援(HCi-AS)特集ページ」も合せてご覧ください

(2) [HCi-ab] 基礎能力(新卒・中途採用基礎能力診断・検査・テスト)
新卒採用や中途採用時の応募者の基礎能力を診断します。
設問は3分野から構成され、各分野と総合の素点と偏差値で診断されます。
英語分野(長文、文法)の含まれた問題も用意しております。
入社後の仕事に必要な基礎的事務能力の判定にご利用いただけます。

「基礎能力(HCi-ab)紹介ページ」はこちらへ

(3) [HCi-OPCS] 管理職適性(管理職・管理者・リーダーシップ適性診断・検査・テスト)
中堅社員の管理職適性や最適配置を明確に診断する目的で開発されました。
業績達成力とリーダーシップを中心に全10項目を診断します。
マネジメントに必要な要件(リーダーシップ・目標追求力・主体性)を基に診断します。人事考課等と併せ、昇進・昇格の補足資料として利用できます。

「管理職適性(HCi-OPCS)紹介ページ」はこちらへ
「管理職適性(HCi-OPCS)特集ページ」も合せてご覧ください

(4) [HCi-CFM] 自己開発支援(自分の強み・弱み/自己認識支援診断・検査・テスト)
「人材が自分自身を変革しようとするためには、まず自分を知ることが基本です。」
その人材の強み、弱み、様々な仕事に就いたときの具体的な課題など全7項目を診断します。
自分の改善目標が具体的にイメージ化しやすい診断内容になっています。

「自己開発(HCi-CFM)紹介ページ」はこちらへ

適性検査のまとめ

昨今、少子高齢化による人手不足、それに伴う外国人労働者の受け入れなど採用市場は大きく変化しております。
また、日本特有の終身雇用制が崩れ人材の流動化に拍車がかかり、就労者の職種とのミスマッチが顕在化しています。
そんな中、企業の採用選考に当たっては、長く活躍でき自社にあった人材か見極めた上で合否を判定することが重要な経営上の課題となっています。

採用選考を支援する適性検査は、多くの会社から多数提供されています。
先ずは、「自社に合っている検査なのか?」を考える必要があります。
人の採用には、時間とコストがかかります。
それにも増して、なにかとストレスのかかる現代社会、メンタルヘルスの発症者が年々増加しております。
業績に貢献できる人財と業績にマイナスとなる人罪を水際で見極めることは企業発展には不可欠と言えます。

面接官の評価も適性検査の判定も万能ではありません。
適性検査は、論理的な想定であり、長年の研究で抽出されパターン化された人物像の提供です。
被験者の個性の部分は、削ぎ落ちています。
面接官の勘も適性検査の判定も、「信頼性」「妥当性」の観点では100%ではなく限界があります。
最後に、当社から「自社に合った適性検査」を選定し、5年・10年と使い続けていく中で、業績向上に貢献する人材像が見えてくる、との提案をさせていただきます。
企業規模の大小や業種・職種に問わず、すべての企業で適性検査を導入することをお勧めします。

(2020/3/5 株式会社ヒューマンキャピタル研究所 顧問 松田繁雄)