女性を活かす会社が生き残る
さる6月21日(木)に、本年第二回目の弊社お客様向け勉強会を開催致しました。
講師に株式会社メインの代表取締役 山尾百合子氏をお招き致しました。超が付くほどの「人材不足」が、今日本社会を覆っています。求人に費用をかけてもなかなか納得いく人が応募してくれません。私共のお客様でも、ベトナム人をはじめ海外に活路を求めたり、シニア層の再構築を急ぐ動きが盛んです。
今回の講師、山尾社長には女性ならではの視点で、企業内ダイバーシティや女性を活かすマネジメントの方法論についてお話頂きました。講演内容を抜粋してレポート致します。
株式会社メイン代表取締役 山尾 百合子氏
■ 講 演
皆さんこんにちは、ご紹介いただいた私、株式会社メインの山尾百合子と申します。もう錚々たる方がおいでで、さらに今日は雨も降っている中で、こんなにたくさんの方においでいただいて、一生懸命お話しさせていただきます。
【変化する社会の取り巻く環境】
当社はお陰をもちまして、今年創業30周年を迎えることができました。日本において30年続く会社は全体で何社くらいあると想像されますか?日本には440万社の会社があると言われています。そんな中、自動者業界の方に聞くと50%̃60%(自動車)。よく企業30年寿命説なんて言われます。調べると、実際に30年続く会社(企業生存率)は0.021% 1万社に2社しか残らないんです。逆に世界と比較して、日本には100年を超える会社もたくさん存在します。私は日本式経営って、実はとても素晴らしいと考えています。
企業も生き物です。どうやって育てていくか、どうやって運営していくか、どうやってイノベーションしていくか、とても大切な事です。
今問題になっている人手不足と社員の可能性追求という事を考えていきますと、募集しても人が集まらないのは当たり前なんです。いないんですから、若い人が。
じゃあどうしたらいいのか?今から女性に子供を産んでもらいましょうといっても20年かかるんです。私そしたら80になっちゃいます。実は、優秀な女性は随分今家庭にいらっしゃいます。
今「お帰えりなさいプロジェクト」っていうのを、ある会社さんがやっています。それは、女性が子育てをして色々な家事もあるけれど、40歳から50歳ぐらいで仕事をしようとしたら、パートの仕事とか選択肢が非常に少ない。優秀な人が一杯いるにもかかわらずです。そういった人たちをどうやって引っ張り上げていくのかという事を、会社の為にもなり、その人達の為にもなり、それがひいては世の中の為にもなり、生活も潤います。要するに、女性の方々に活躍してもらう環境や場所を早急に準備するということが、一番早い道かなと思います。
もちろんシニアの方もそう、ダイバーシティという、多様性という言葉をみなさんよく聞いていらっしゃると思いますけれども、女性活躍を推進しない企業に未来はない、と私は断言できます。もう就労人口が減るのは目の前に迫った現実なのです。逃げることはできません。今日ご参加の皆さんの会社には、本気で100年続く会社を目指していただきたいんです。やっぱり、私はバッカじゃないのと言われても、私が死んでも今の会社を本気で残したいと思ってやっていますから。
【女性が輝く職場とは】
最近の企業内ダイバーシティはどのように進んでいるか?ダイバーシティとはいっても、あくまで今日は女性という括りです。ダイバーシティって多様性ですから、まあ性別だったり、国籍だったり、それから宗教だったり、趣味嗜好だったり、よく最近はLGBTっていわれますよね。レズ、それからゲイ、それからバイセクシャル、それからトランスジェンダーの方々がこれは左利きと同じ位だけいるそうです。
そういう風に考えていくと、私共も大手の事だよね、って言ってばかりはいられない時代になってきています。欧米はもうとっくにこの辺りを意識した会社経営をしています。日本社会も賛否両論あると思いますけれども、そういった人達への人権を認めていただけるような社会っていうのも、いわゆるダイバーシティの考え方が急務だと考えます。
私が若い頃お世話になった日産自動車。今、日産の取締役に星野リゾートの星野社長の奥様、星野朝子さんがいらっしゃるんです。星野さんが入社されてから日産が大きく変わったと言われています。たまたまその星野朝子取締役とお会いする機会があってお話した際、ゴーンさんが日産に来てまず一番驚いたのは、会議に出たら全員が男ばっかりだった。何だこの会社?だからこの会社は潰れかけているんだと。
で、ゴーンさんは星野さんを呼んで、今の日産は非常に画一的でTOPダウンで、もう本当にカチカチだと。ここに風が吹いたらポキッと折れちゃう、もう何か嵐が来てもソフトアンドファン、つまり柔軟で強い組織を作りたい。そのためには役員には必ず、多様性、そういう人達(多様性を持った人)、女性を入れていくことが急務だと、もちろんそこに星野さんも入っているんですけれどもね。しかし、かく言う日産でさえまだ管理職の中に女性が9.1%しかいないのが現実です。
ゴーンさんは海外の方ですから、そういった意味では日本式経営ではないです。バッサ、バッサ、日本人ではやらないような、リストラもやりました。それからコストカットもしました。それまでの日産って、「技術の日産」言ってたんですね、技術があればお客様はついてくる。技術を磨こう、日産は技術が素晴らしい、とお客様に認めてもらおう、って努力していた。でもダメだったんです。何がダメかというと、その技術力すらマーケティングしていない、PRしていなかったのです。でもそれをどうやって外に向かってアピールしていくかってことが日産には足りなかった。だから私が関わったミスフェアレディではどんどんマスコミにも露出させて、宣伝効果を高めました。ゴーンさんは、自分もコマーシャルに出ようって言って、ご自分が最初のコマーシャルに出てらしたのを皆さん覚えていらっしゃると思います。そういったハッキリした意思を持ってマーケティングにどんどんお金をかけられていった。良い悪いは別として、企業として生き残っていくためには、TOPはそういった迷ってもスパッと意思決定していかないといけないし、その意思決定によって結果として日産が回復していったということも事実です。
【女性の活かし方 マネジメントの方法とは】
あなたの会社は女性に優しすぎませんか?
これからの時代、キャリアって男性だって死ぬ気で仕事されているわけじゃないですか。
やはり上に行くってことは、女性も同じ修羅場をくぐらせるべきだと私は思います。それこそ、女性にはきつい仕事は与えない、というのは性差別だと思います。
そこをやっぱりいつも暖かく、柔らかいところに乗せてあげて、それでOKの女性ももちろんいます。そこが悪いって言ってるんじゃない、まず、決めるのは女性に任せてください。優秀な人にちょっと言ってみてください。それでNOだったら、そこは降ろしてあげてください。
要するに、日々どれだけコミュニケーションをとっているか?なんです。ほったらかしにしていませんか。コミュニケーションって言ったら、何か気の利いた事を言わなくちゃいけないんじゃないか?気の利いた事なんて言わなくていいんですよ。まず社長から人事の方から皆さんから「おはよう、今日も頑張っているね」そのぐらいでいいんです。
そういう挨拶だけっていうコミュニケーションでもいいと思います。要はそれをやっているかどうかなんです。
【トップの本気度が組織を動かす】
女性を活用するってことは、結構いろんなことをやっていかなきゃいけないし、それからいろんな問題が出てきます。繰り返しになりますが、それに対してめげないで、いろんな事を各企業で、全員が前を向いてやっていかなければいけない時代になってしまった、ということです。何せ人が足らないのですから。
さらに具体的に何やってんのと言いますと、トップダウンでメッセージを発信し続けるというのを本気でやってらっしゃる企業が成功していると、私はみています。
本気を形にするのは、例えば会長からパートまで全社員強制的に研修を受講させるとか。要は、会社は人材の育成にお金をかけているんだ、というところをしっかり見せる。
あと、評価は昇給、昇進にもちゃんと反映させる。そういった事の評価はこれから確実に項目として目にみえる形で、入れ込んでいかないといけないと、思っています。
最近のテーマでは「時短」とかが分かりやすく、結果が目に見えやすい項目です。具体的には、「何時に帰るか決めてしまう」。時短というのは女性だけの問題じゃないんです。そういった中で労働力を確保していくってことを考えていくと、今ダイバーシティっていうのはひとつの考え方、切り口になります。これから、働き方の多様性、働き方改革といったテーマで私の会社もどしどし進めていきます。皆さまも是非一緒に取り組みましょう。
私達中小企業は、社長の決断次第で大きく舵をきれます。これから長い将来をみていく時に、女性活用はもちろん、社内の資産である一人ひとりの人財のレベルアップが会社の将来を占う大きな要因になることは、確実です。ある意味人への投資ですね。
これで私の話は終らさせて頂きます。ご清聴ありがとうございました。
インサイト No.51
2017年10月5日