笑顔とプラス言葉が飛び交う、組織作りの極意
今年の第1回目のヒューマンキャピタル勉強会が、株式会社オザキエンタープライズの尾崎副社長を講師にお招きし、開催されました。
オザキエンタープライズさんは、「世界一幸せになる」朝礼が話題になり毎回全国から多くの見学者が訪れます。勉強会当日は、その朝礼の一部を参加の皆さんと一緒に実施したり、人権問題に取り組む尾崎副社長の詩の朗読があったりで、大変なごやかな雰囲気の会となりました。
そんな勉強会の模様をご報告いたします。
オザキエンタープライズ株式会社 取締役副社長 尾崎 真澄氏
■ 講 演
第1部「朝礼と採用」
【はじめに】
本日は、「講演・話」と「体験・体感」から、何かを掴んで頂き参考になる事があれば、是非皆様の会社にも取り入れて頂きたい。更に『温かい気持ち』になってほしいと思っております。本日この場で皆様に体験・体感して頂こうと思っているのは、弊社で行っている「世界一幸せになる朝礼」の中の「本気じゃんけん」・「ハッピー体操」・「ストローク」の三つですが、まず冒頭に弊社の紹介を行いたいと思います。
1. 会社について
【会社概要】
昭和46年設立、当初はボーリング場から始まり現在、遊技場「オゼック」5店舗経営、スタッフは160名の会社です。
【根っこになる理念と精神】
弊社は「3つの経営理念」で経営を行い、「奉仕の精神」で現在より未来に向かって社会へ奉仕、貢献する会社を目指しています。
【経営計画書】
6年前に「経営計画書」を現在のようなかたちで作成し、手帳に年間スケジュールも記載、全ての社員が会社の全て(決定された方針)を把握できる様にしました。
【絵本と小冊子で】
8年前から社内で人権啓発を開始し継続しております。今から4年前に「絵本と小冊子を使って人権の教育をしているのは日本で初めて」という事で、スイス・ジュネーブの国連で講演をさせて頂きました。その後世界各国、国内各地で「人権啓発」の講演をしております。
2. 環境整理
掃除により職場の整理整頓をし、環境を改善する。
朝礼によりメンタル(内面)の環境改善をする。
【朝礼の意義と価値】
基本は「ありがとう」の精神です。「自分自身も相手も大切な尊い存在なんだ!」と朝から体験する。そして感謝の心、気付きの感性の育成、楽しい職場の創造へ繋げます。
更にモチベーションアップから業績へと繋がっていく流れの構造を朝礼を通じて作成しています。ちなみに弊社の朝礼はオープンにしており、インターネットホームページ、または電話から見学の申込みが出来ます。1,100名以上の方がこれまでに参加、見学されました。
【朝礼の取り組み例】
<取り組み1・身だしなみチェック>
チェックシートを活用し自分自身がまず記入します。その後、パートナーと交換「髪の毛をちゃんと束ねているか?」から「爪は伸びていないか?」「歯はきちんと磨いているか?」のチェックなど本当に小学生の様な基本的なところも徹底して確認します。この事は、採用の会社説明会で集まった学生に向けても「男性バージョン」・「女性バージョン」を用意してミラーチェックとして行います。
<取り組み2・接客挨拶>
4大接客用語を確認して、「おもてなし」の心を確認します。
<取り組み3・本気じゃんけんの体験>~「では、皆様ご起立下さい。最初に弊社社員が見本を見せますので実際にやってみましょう!」
元気よく、本気でじゃんけん。勝っても負けても喜びます。(「居酒屋てっぺん」さんでも実施されています。)
<取り組み4・ハッピー体操の体験>~「引き続き皆様も実践してみて下さい!」
二人で向き合い、3回手をたたいて「ハッピー!」とポーズ!(「沖縄出版」さんでも実施されています。)
<取り組み5・ストロークの体験>~「最後ですがこれも皆様でやってみましょう!」
二人で向い合い1分間づつ、自己紹介します。最後はお互いに握手をして締めます。
<取り組み6・Good&NEWS>
毎朝円になり、手を繋ぎ相手にボールを投げて受けた方が「24時間以内の嬉しかった事・新しいNEWS」を発表し伝えます。
<取り組み7・世界一宣言&私の誓い>
63億人の中のたった一人の尊い自分を自覚する。自分の誓いを宣言し、会社はその誓いを貼り出します。
<取り組み8・30秒スピーチ>
社内の人間が持ちまわりで話をします。全員が立てる舞台を提供し、一人一人が主役であると認識させます。
<取り組み9・ゴールドスタンダードの唱和>
会社の中だけで理念を感じて行動するだけではなくて、地域に根付いて仕事をさせて頂くには、例えば駅から会社までの間にタバコのポイ捨てをして「オゼックさんの社員は態度が悪いね。」など言われないように、会社の外でも通用する心と行動の育成をします。
そういう意味では「ゴールドスタンダード」はベーシック。本当に変わらない、当たり前の事を計画、実行するという事です。
3. オザキエンタープライズでのHCI-ASの活用方法
HCI-ASで見ているのは、点ではなくバランスを見ています。診断報告書の内容から「サービス業に合うか?」「弊社に合うか?」「育てられる人材か?」「伸びていく方向・指導法は?」をチェックしております。これらを総合的に判断できるので「安心材料」ですね。
メンタルヘルスに関しては現状「文章有り」の場合は、採用を見送っています。ゆくゆくは「文章有り」でも採用できるような懐の深い、人間育成の出来る会社になっていきたいとは思っております。
■第2部「質問会」
Q・採用費用と内容の詳細を教えてください。
年間4,000万円程でしょうか。内定者一人に100万円は使っており、08年度は4人の内定者でした。内定後はインターンシップでも時給を支払っています。また、交通費も支給します。他には様々な「新人研修」や「教育研修」、「技能学校」の費用なども負担しております。
Q・HCI-ASの活用法を教えてください。
内定出しまでの選考が一つ。(※見ている箇所は前記参照)入社後も参考資料として活用しています。(育成指導のポイントをチェックします。)
Q・今までで一番「しんどかった事」また「乗り切れた方法」を教えてください。
業績、売上げが今の十分の一くらいの時期は「社長を社長と思わない社員」などが居たりで組織として成り立つまでは大変でした。「人」に重点を置き、人権意識を高めた事が結果的に「乗り切れた方法」になったのかもしれません。個人的には家庭・子育てと仕事の両立が難しかったですね。
Q・他社との違い、本業の強みは何でしょうか。
社員教育(社員の質の向上と営業力のアップ、技能の向上)と店舗環境の整備です。また、経営者が店舗運営の前面に出ることも大事です。突き詰めれば「人」に行き着きます。
Q・内定者の方に質問したいのですが、この会社を選んだ理由は?(当日、尾崎副社長のサポートで参加の学生が発言)
社長が率先して採用活動をしている点には好感を持ちました。「人」の大切さ、「人権」について本気になって取り組んでいるのが分かったのも決め手の一つです。
Q・お客さんへの指導などはされてますか。
楽しんで遊んでもらう貯玉システムを構築していますが、指導などは難しいのが現状です。
HCIからの報告
2007年度の「HCI-AS」の統計報告を致します。
新卒:中途の割合は52:48でほぼ半数づつでした。その中で「結論」部分から発表致しますと「特に際立った変化は無かった。」と言えます。結論の出現率も企業ごとには特徴があるようですが、全体で見ますとその特徴はみられません。
「メンタルヘルス」に関しては若干ながら変化がありました。
昨年15%の出現率だった「文章有り」が0.5ポイント増加し、15.5%の出現率になっています。今後もこの増加傾向が続くのか注視していきたいと思います。
インサイト No.16
2008年6月3日