HCi-ASテストデータから見る人材の傾向

株式会社ヒューマンキャピタル研究所 主任研究員 北山 進

■ HCI-ASテストデータから見る人材の傾向

 

 最近連日のように報道される凶悪事件。また、事件の加害者の急速な低年齢化が進んでいます。こういった事件と連動するかのように、我々ビジネス社会でも大きな問題になっているのが、従業員の精神的トラブルの発生です。出社拒否や周りの人と軋轢を起こしたり、精神科に行くようなケースが着実に増えています。
 図1は、HCi-ASのストレス耐性項目(*)の出現率の統計データですが、昨年の平均値が14%になっていることがわかります。1985年サービス開始当初の値が7%ですから、着実にメンタルヘルスで問題を抱えた予備軍が増えてきていることを物語ります。この統計数値は、あくまでもHCi-ASの全受検者の平均値です。

図1 メンタルヘルス出現率の変遷(日本)

 
 当然、図2のように国別業界別によって数値のバラツキが存在します。中堅ソフト開発会社の場合には、平均の倍になる28%という数値を示しました。最近では、大手企業が心のケア目的で相談室を設けたり、産業カウンセラーを常駐させる、といった企業も増えつつあります。ただ中小企業では、問題が発生してから処遇を検討したり、社労士と相談する、といった経営的に後手にまわるケースが多いようです。
 こういった状況から、今後リスクを回避するため、採用の段階で何らかの防衛手段が必要になるのではないでしょうか。

図2 メンタルヘルスの国別 業界別比較

(※)メンタルヘルス出現率に関して
HCi-AS診断報告書最終項目のメンタルヘルス記述欄において、普通は「特記なし」という表示です。欄内に何らかの記述文がある場合は、ストレス耐性において問題が発生する可能性が高いと言えます。

インサイト復刻版 No.1
2003年9月18日