Boys Be Ambitious! 海外でパフォーマンスを上げる!

本年第2回目のお客様向け勉強会を、さる5月15日に開催しました。
長い勉強会の歴史でも初めて外国人講師をお招きしました。カナダ国籍のブラッド・シュミット氏で、海外及び日本国内で15年以上業務改善のコンサルティングの実績があります。
お生まれが北海道のため絶大な日本通でもあり、ある意味我々以上に日本の良さを理解してくれています。当日は、ブラッドさんが訪れ、手がけた海外の「改善」事例や文化の違いまで踏み込んでお話いただき、参加のみなさまにも大変満足していただけました。当日の内容を報告いたします。

【生い立ち】
・昭和48年4年月生まれ ・高校3年まで転校8回 ・4か国の教育制度を経験
【教育】
Trinity Western University( 経営)
【略歴】
1995年カナダでリムジン会社を経営 1998年友人とゲンバリサーチを設立 2006年同社日本法人設立
2011年KAIZEN INSTITUTEと合併 2013年Makoto Investmentsに名義変更

株式会社Makoto-Investments  Coo ブラッド・シュミット氏

■ 講 演

1.はじめに

 皆さん、こんにちは。ブラッドでございます。両親が宣教師として日本に来てそこで生まれ、カナダに移民してパスポートを貰ってまた日本に戻ってきました。国籍は、カナダと南アフリカの両方を持っています。今、私40歳です。若い時に起業し中小でやってきて2年前に大企業と合併。26カ国に拠点がある会社で夢一杯でしたが、つい1か月前に「やっぱり俺には自由が必要だ。お客さんにサービスが出来ない。」と別れました。色々人生失敗もしていますけど、学んでもいます。皆さんの方が人生の先輩かもしれませんので上からあれこれ言うのではなく、感じている事とか、特に私が尊敬している会社の事例とかを今日はお話いたします。
 ご参加の皆さんは業種、業態は違いますが、海外展開を考えている会社もあると思います。中小企業でも海外展開、私は必要だと思います。ではどこに行こうか。お金を持っている所がいい。そうアラブです。私は、アラブは親日だから大好きです。お金を持っていても日本人を嫌いな所、あえて国名は言いませんが、お分かりですよね。付き合わないほうがいいと思います。まず、文化について。イスラム教圏での面白い事例考え方、キリスト教圏の考え方など交えて「改善」のお話をしていきます。宜しくお願い致します。

2.認識したい「日本の強みと弱み」

 外国から見て日本、日本人はどう見えるか。戦争後よく回復したな。次に、特に中東からは「よく赦せるよね。」武道の精神。品質は大事。日本の物はちゃんとしているね。社長と一般従業員の給料差少ないね。全員参加。「頑張り」が評価される。人の可能性を否定しない。やればできる!という意識。これらは素晴らしい! 「Japan is Big Harmony Land」です。私は外国人に次のように説明しています。1・「和」は保つものではなく構築するものですよ。2・自己犠牲を払って造るもの。=権利の主張ではないですよ。そして3・外国人は存在そのもので和を乱すよ(笑)。それは、日本人なら自然と身についているものが、外国人の違う文化では自然とは身についていないから。でも逆に気を付けないといけないのが、真実よりも和を尊ぶ心。これは、強みが弱みになってしまいます。その場しのぎの「和」だったり、「ちょっと私では判断できかねます…」また、真実が出てくると面倒なので隠ぺいしたり。自己犠牲を払って構築する和が大きな和、見て見ぬふりするのが小さい和です。毅然とした大和魂・武士道精神が大事です。

3.新渡戸稲造:クリスチャンの武士と聖書の「道」

 新渡戸稲造は、列強に対し「自分達も同じような思想を持っているから見下すな。対等として理解してくれ」「BUSIDO The Soul of Japan 」のメインメッセージを出してます。「1 毎日死ぬ覚悟でいる 2 自己犠牲をはらって弱きを助くる 3 たとえ辛くとも正しいことを貫く 4「 赦す」といったら水に流す 5 謙虚さ 6 友や家族を裏切らない 7 結果よりもプロセス重視 8 年配者、目上の人に敬意をしめす」これが新渡戸稲造の武士道であり大和魂です。ユダヤ・クリスチャン思想、主に聖書(旧約・新約)にも「正義をなし、慈悲を愛し、神の前で謙虚に歩め」と同じことを言っています。「自分も罪を赦されているから相手を赦す」とか「貧しい人とお金持ちを同様に扱え」とか難しいですよね。でも、これらは日本人にはすぐ共感できると思います。

4.欧米価値観の対立を理解して接しよう

 欧米の価値観はローマ思想と聖書的思想の2つが隣り合っています。ローマ思想では、「1 絶対所有権は個人=ジャイアンですよね。 2 Might is Right 3 快楽を求めて何が悪い?」こういう考えなので「法律」で規制します。聖書的思想では、「1 絶対所有権は唯一の神=神のものだから私が一時管理しますので大事にしましょう。 2 Right is Right 3 正義をなし、慈悲を愛し、神の前で謙虚にいる。」この2つの思想は対立しています。攻めるべき点は「良心」の方。聖書的思想にアプローチをしていくべきです。謙虚な考え方ですよね。我々改善に携わる人間の思想は価値のあるものだけを追い求めてはいけない。測れないものを目標にしていく。「ムリを50%減らして、喜びを2倍に!」一見価値の無いようなものも捉えて展開していきます。

5.イスラムの考え方

 ①彼らをどう扱うか。 イスラムの人に「さぶらう(侍)」って言うとイスラム人は喜びます。何に(誰に)さぶらうのか。これは君主です。この君主が暴君であれば可哀想ですがしょうがない。イスラムでは「鼻」っていうのが凄い大事で、日本では謙虚な気持ちを「腰」が低いって言いますよね。向こうでは「鼻」が低いって言います。鼻を出したらそれはとても失礼になります。なので神に向かっては鼻を床につけるんです。また、イスラム圏では食べられない程の料理を注文します。そして少し手を付けて残します。それを食べられない人に最初からあげてしまうと、貰う側にわるいです。そういう考えの理解が必要。イスラムの教えでは
基本的に人は「良い行い」をすべきで、良い行いをすると天国に行けるとなる。「儲かるから」ではなく、正しいからやるんだ。ボスが言ったから正しいのではなく、「正しいからボスが言っている」に置き換えていく。問題は特定の人が解決するのではなく、みんなで解決するものだよ。だからプランを持って改善活動を継続する

6.Kaizen(改善)の継続

 全体の流れは、座学+実践で何が良くて悪いかを確認。会社の為や自分の為や家族の為でなく、正しいことだから実行する。そういう精神の改善が一番先。そして、自分のエリアを自分達で変える。現場のロジックをはっきりさせる。そして改善の継続。これが難しい。朝礼もいいです。審査・ミニ改善でレベルアップ。繰り返しです。定着するとコンサルティングが外れてもまわっていきます。見えにくい管理部門、財務部もパフォーマンスを「見える化」します。例えば口座状況を色分けするとか、支払いを早期・普通・遅いで色分けするとかの工夫です。細かいテクニック、作業効率を上げる職場レイアウトの改善や会議の効率を上げる改善、オフィスを現場に移す改善方法もあります。アメリカの事例も持っています。他にも話したい事がっぱいありますけど、時間ですので後は個別でご相談ください(笑)。本日はご静聴有難うございました。
以上 

インサイト No.35
2013年8月30日

人材開発・育成に関連する記事