目標達成にふさわしいチーム作りには、どんな流儀が必要か

 定期開催をしていますヒューマンキャピタル勉強会を、6月15日(水)に実施しました。この会は3月11日の震災直後に予定していたのですが延期となり、お待たせしてしまった開催となりました。
 講師は、「すごい会議」という、組織をハイパフォーマーにする手法の認定コーチライセンスをお持ちの、大野氏でした。大野氏の社内活性化のお話は、軽快なテンポでしかも中身が濃く、参加の皆様に大変満足していただけました。当日の要約を報告いたします。 

成長戦略参謀室株式会社 代表取締役CEO 大野 栄一氏

■ 講 演

~はじめに~

 皆さん、はじめましてこんにちは。「目標達成にふさわしいチーム作りには、どんな流儀が必要か」というテーマでお話をさせて頂きます。私は現在「すごい会議」のコーチ(全国に15人しかいないコーチの一人)として、会議を通して目標達成するマネージメントを行なっております。信念として「きっともっと皆さん方は凄い」という思いでコーチさせて頂いております。では、早速最初の質問です。「皆さんは今日この勉強会終了後、どんな成果があれば自身にとって最も価値があるのか?」これを2分でお書き下さい。そしてこの後1分間で隣の席の方とシェアして下さい。発表は、最初にじゃんけんをして勝った人からです。私が会議をマネージメントする時に、冒頭必ずする質問がこの質問です。私から何も提示していないのに書かれた内容というのは、ご自身の中の目標です。つまりレバレッジで言えば支点が決まるという言い方をしますが、それによって得られるものがより明確になります。会議の場合、多くは呼ばれて来ている事が多いと思いますが、この質問をすることでスイッチが入るって事が多いんです。ビジネスミーティングでは、これを最初にすると精度が上がります。

【5つのパワー】

 「イケてるチーム」に共通する4つの視点があります。1.制御体験。分かりやすく言えば成功体験なのですが、「制御」ですから自分でコントロール出来て尚且つ成果に結びついたという体験をどれだけ積んでいるか。2.代理体験。自分じゃなく隣の人が成果を上げている事によって疑似体験する。3.言語的説得。私はこれを最も重要視しています。皆さんは言葉で会社を潰せると思いますか? 私はYESだと思っています。現代は言葉だけで会社を潰せる時代です。4.生理的状態。これはコーチというよりカウンセリングに近いです。心身のエネルギーの状態はどうなのか。リーダーやマネージャーは、この4つを教科書的に持ってマネージメントすることが大切だと思います。これに足して、私は個人的に「信頼と所有感」というものが、会社のバランスシートに載らない最も重要な資産であると思います。逆に大きな負債は、ストレスだと思います。もちろん、全てのストレスが不要だとは言いません。あと、5つ目がマーケティング的には顧客名簿が一番重要です。時間が限られていますから、これも本日は触れません。

【働くことについて】

 社員は企業にやりがいを求めてはいけないし、企業は社員に忠誠心を求めてはいけません。「終わりの見えない残業と休み辛さ」「上司からの理不尽な要求」「過剰な管理」「人間関係の歪み」「処遇の不公平感」「やる気主義」以上6つが最大の負債であるストレス要因です。逆に必要となるのが、「信頼感と所有感」だと私は思います。「飴と鞭」が通用しない時代です。モチベーションは報酬である程度上がりますが、用い方を間違えると返って下がることも分かっている時代です。
 次に、皆さんの仕事の内容に関して質問します。「マネージメントの仕方として、その仕事のやりがいを増やし多様化させることが可能か」「機械的な側面を減らして、組織の大きな目的に関連付けられるか」これらがNOなら報酬を利用するしかないのです。そして1.この仕事が必要だという根拠を示す。2.その仕事が退屈なものだと会社側がしっかり認める。3.それぞれのやり方で仕事を行なうことを認めてあげる。これが所有感です。逆に仕事内容がルーチンワークではない場合、交換条件付きの報酬はほぼ全ての場合に避けて下さい。効き目がありません。賞賛とフィードバックがうまく使えると、報酬よりも彼らのモチベーションは皆さんの想像するより数段上がります。コントロールするのではなく相手に役立つ情報を与える仕組みを作ることなのです。

【信頼が大切な理由】

 当たり前だと思われるでしょうが、働き甲斐を生んでいる会社は不自然なくらいに意図的にコミュニケーションを使って信頼関係を築いています。放って置いたら戻っちゃうんですよ。「信頼」という言葉の定義を、「裏切られる可能性がある中で、こちらの期待が相手にもきちんと理解されている」」「問題が起こっても解決してくれることが期待できること」と、私はしています。フィードバックが無かったチームは、批判されたチームと同じくらい自信を喪失します。リーダー、マネージャーのコミュニケーションの質が、彼らのパフォーマンスを決めているわけです。フィードバックをしない(あまり期待していない)ので、期待通りに自信喪失していくわけです。フィードバックをしないというフィードバックが、「重要じゃないんだ」というコミュニケーションを生んでしまうわけです。組織における怒りや悲しみは、これで起こっているんです。今日、これをお持ち帰り頂いただけで、社員の怒りや悲しみは半減されること請け合いです。今日参加した甲斐が十分あると私は思います。ご清聴有難うございました。

【質問会】

Q. 厄介な問題を解決する方法として、何か役立つ方法はありますか?
A. 仕事でもプライベートでも結構ですが、厄介な方法に白黒をつける方法があります。この問題を潰したら、飛躍できそうなことを「A・私の問題は○○がないこと。」と書き出して下さい。次に「○○」の部分を「B・どのようにすれば○○になるだろうか?」と疑問文にします。ここで終わるとあまり変りません。ダブルネガティブになっているだけなので。次に「C・どのようにしたら日本一(世界一)の○○になれるだろうか?」と突き抜けるワードを入れて変換します。A⇒Cに変換されると、自然と前向きになり、目の前が明るくプラス思考となります。こういうメンタリティで思考開始すると、良い問題解決に繋がります。お試し下さい。

インサイト No.27
2011年9月28日