社会で成長するための真のポジティブシンキングとは

 北海道札幌から株式会社エムアンドジーの中村社長をお迎えし、本年2回目の勉強会を開催しました。中村社長は、昨年10月に発売した著書「営業の魔法」が話題となり、2007年にはベストスマイルオブザイヤーを受賞する等、現在全国の経営者から注目の存在です。
 今回ご多忙の中、当社の勉強会の講師をお受け頂きました。そんな熱気溢れる当日のレポートです。
 株式会社エムアンドジー様 URL:http://www.mgfan.com/index.html

株式会社エムアンドジー 代表取締役 中村 信仁氏 講演

■ 講 演

第1部「講演」

【はじめに】

 みなさん、こんにちは。今日、北海道からやって来まして、みなさんとお会いできる事を楽しみにしておりました。2ヶ月くらい前にこのスケジュールが決まりまして、甲野さんが東京に呼んで下さるということだったので本当に、嬉しくなりました。
 私自身は、ずっと営業の叩き上げで、一番最初は外資系企業のフルコミッション営業からキャリアをスタートさせました。それで営業の勉強を色々させて頂きまして、挫折、苦悩を乗り越えて今、経営者の道を歩ませて頂いております。
 私が最近得意とするのは、内定者達や新入社員の研修、そして2~3年経った先輩営業マン達を如何に「即戦力・総戦力」に導くか。それに関しては自分で言うのも何ですが、ある意味「日本一」ではないかと。特に若手営業マンの育成に関しては。
 「何故、営業っていうのをやらなくてはいけないのか?」「何故、営業が必要なのか?」「そして、どうやったら営業は売れるのか?」その辺をモチベートしながら「営業とは何か!」を教える“達人”ではないか、と「誰も言ってくれないので、自分で言っています。」(笑)

【中村式営業塾】

 中村式営業塾というのを北海道でずっと展開しています。中村式営業塾に来ますと、ほとんどの人がエキスパートになります。というか「なっちゃうんですね!」で、「なぜ、中村塾に来ると営業のエキスパートになってしまうか?」と言うと、実はタネがありまして「来なくて良い人」が来るからなんです。学ぶ事の無い様なレベルの人が、学びに来られます。だから、私「日本一高い講演料」を頂いていますが(笑)、日本一中身の無い講師としても有名です。(笑)だいたい講演の後に「あいつは今日、一体何を言ってたんだ?」とかあまり印象に残らない。「何かニコニコ話していたな。」で終わってしまう。これが中村塾のパターンですが、それでも皆「売れる営業マン」になってしまうわけです。つまり「学ぶ」ということはどういう事かと言いますと「本当に学ばなくてはならない人」って言うのは来ないものです。ですから本日、こんなにも沢山の方が来て下さったという事は、皆さんは勉強家ですし、顔つきもこんな若造を真剣に見つめて下さる。「流石、HCIユーザーの皆さんはレベル高いですね!(笑)」

【ツイテる・ツイテない】

では、この中で「自分は意外とツイテいない」と思う方いらっしゃいますか?
また、「どちらかと言うとツイテいる」という方?
 「ハイ!これは全部錯覚です!」日本に生まれた時点で我々はメチャクチャ、ツイテいます。世界では何秒かに一人が飢餓で亡くなる。玄関を出るときに命の危険を感じる事はまず無い。それだけ豊かな国、恵まれた国に生まれて生活をしていますから。その中で仕事も持っている。今日来ている方はそれだけでも十分にツイテいる。では、そのツイテいるものをどうやって仕事に前向きに「どーっと」持って行くことが出来るか、それが中村式営業塾が日々行っている事なんです。

【後出しじゃんけんポン・ポン】

 実は売れない人と売れる人、これは物凄い簡単な理論があります。
 売れない人は売れない習慣を持っています。実は。もう「売れない様に、売れない様に!」習慣を作っています。もう一つ、この習慣も怖いのですが「売れない」っていう既成概念に固まっている人達なんですね。そこで、この習慣と既成概念の怖さっていうのを皆さんに体験して頂こうと思います。
 「では、私とじゃんけんしてもらいます。後出しで結構ですからじゃんけんポンで私に負けてください。後出しで負けるんですから、こんなに簡単な事はありませんよね?」

 「では、スタートします!」⇒〈4回やって残った方(負け続けた)は僅か数名でした〉
 今、後出しで負けて頂きましたが、これが「後出しで勝って下さい」と言うとほとんどの人が残ります。つまり習慣なんです。今までの人生で「負けるというじゃんけん」をやってきていないからなんです。人間って言うのは習慣で行動しています。習慣というのは「第二の人生」と言われていますし、如何に習慣というものが怖いか、そして既成概念なんです。じゃんけんは勝たなければいけない、という事を物心付いた幼稚園くらいからずっとやって来て、常に勝つ事に意識を集中してきています。既成概念が固まってしまっているわけですから、負けるということを脳が許さない。つまり心と行動にストレスが生まれたのです。負けなければいけないと思いつつ、ついつい勝ってしまう行動をとる。これが世間でよく言う「成功思考やポジティブ思考、プラス思考や単純思考にならなくては駄目ですよ」と言われながらそういう風に成功出来ない理由なのです。これが落とし穴なのです。つまり、心と行動にギャップがありストレスがあると「それを受け入れないといけない」と分かっていながらも受け入れることが出来ないのです。ですからこの落とし穴をまず理解しないと我々は絶対に上手く行動する事が出来ない。簡単に言えば、売れない人はそういう行動をしてしまっているから売れないんです。しごく当たり前ですよね。既成概念が出来上がっている人達。売れる人はこの真逆ですから、売る習慣が出来上がっていて、売れる既成概念になっている、ただこれだけの事なのです。この心と行動の矛盾、ここにある落とし穴なのですが、何故心と行動に矛盾が生まれるのか?これもよくよく考えると、凄く簡単な事なのです。

【成功:社会的成功と人間的成功】

 世間でよく言われる成功とは社会的成功を指す事が多いのです。我々日本人と言うのは、どちらかと言うと「バチが当る」というような文化を背景にしています様に、社会的成功よりも人間的成功というものに対して馴染んでいます。社会的成功と人間的成功の大きな違いと言うのは、社会的成功=損得です。損得が常に基準です。例として「あの人は良い人、凄い人」と言う場合、何で良い人、凄い人かと言うと「ご飯をご馳走してくれたから良い人」とか「凄い時計をしている、凄い家に住んでいる」からなのです。
 では人間的成功とは?と言うと善悪の部分です。善悪で物事を考えて、判断して行動出来るかどうかです。人は人、自分は自分という教えの中にある「恥の文化」です。自分が恥をかくのは良いけど、人様に恥をかかせてはいけない。これは日本的な文化ですよね。
 社会的成功と言うのは実は非常に曖昧で、時代的バックアップがあり社会的バックアップがあって始めて成り立つものです。このアメリカ的な損得勘定を日本に持ち込み、その型の中で成功を模索するので心と行動にギャップが生まれ、非常に大きなストレスが生じるわけです。ストレスが売れない習慣を作っていってしまうわけです。
 特に中小企業では、人間的な成功者を創っていくことが基本です。徹底して損得ではなく、善悪の考えから、また道徳に立ち返って教育、育成をしていく事が大切です。
 道徳とは何か、これは3つに集約されます。1・謙虚、2・積善、3・改過です。
 これは日本的な商人の考えです。温かく柔らかい人間性が集まると1+1が2以上になりますから。利に走らずに、人を育てる事の大切さを今一度再確認すべきです。

【売上げ・利益の大切さ】

 売上げ=大義名分を持たなければいけない。売上げとは、一言で言えば「世間様からの預かり物でしかない」と言う事です。間違っても騙して売ってきたり、その場その場の瞬間芸でやっていても長続きしません。以後、誰も預けようとしません。コツコツと積み上げていく事の大切さ、誠実さをきちんと教育して行く事が結果、大きな売上げや、利益に繋がるはずです。社員教育の中で教えるべきことは「お金は物を買う為にあらず。時間を購入する為だけのものである。」と教える事です。これは物凄く大切な事です。利益の大切さは3つあると言われています。
1.会社の存続のためにある。会社の発展ではないんです。発展しなくてはいけないものは、その会社の社員です。会社はただそこに有り続ければ良いのです。
2.社員の成長のためにある。常に新しい“人財”を採用していく、既存の社員を教育していくことが必要です。
3.社会への還元の為にある。地域の若者の雇用や納税など。
この3つを成し得るために、利益はなくてはならないのです。そしてこの3つと更に「感謝の心」を付け加えます。

【感謝の心を育てる為に】

 1.足運びの法則~自分から歩み寄る、自分からやるという姿勢を継続させる。2.井戸水の法則~井戸を掘ってくれた人を忘れるな。という教え。3.親孝行をきちんとさせる。
 以上で、私が今日ご参加の皆様にお伝えしたいことです。ご静聴ありがとうございました。

■第2部「質問会」

・営業の仕事の最終的な目的とは?
 お客様が主体ですが、自分以外の人を幸せにしたいと心から思うことが大切です。

・最近の学生について、どう思いますか?
 無知と言えますが、大人の責任でもあるわけで一方的には責められないと思います。

・お勧めの本はありますか?社内読書会などをやる場合の注意点は?
 ケンブランチャード氏の「ザ・ビジョン」という本をお勧めします。田坂広志氏の「仕事の思想」は年に一度は読み返しています。是非お読みください。読書会では、感想を発表してもらいますが、一切批判をしないことが大切です。発表の内容から今まで見えなかった人柄が見えてきます。

・「頑張ります禁止条例」について
 疲れた、嫌だ、悪口等の後ろ向き言葉や「頑張る」を使ったら罰金にします。「頑張る」も後ろ向き言葉であると認識をさせることが大切です。「仕上げよう!」とか「フィニッシュしよう!」とか「行動しよう!」を使ってみると最初は良いと思います。

・言ってはいけない言葉とは?
 よく社長が言ってしまいがちな「売上げをあげろ!」「利益出せ!」を連呼すると、かえって従業員の危機感が増してしまう事があるので、止めた方が良いです。

・「お疲れ様」という言葉について
 最近「お元気さま」という言葉を代用する会社も有りますが、私は「お疲れ様」は良いと思います。個人的には後ろ向きな言葉では無い思います。

・中村社長の目標は?
 目的のために目標を立てますから目標は常に変化していきます。最終的な目的は「人間的成功を目指そう!」です。これにも迷いはありましたが今はそこから「全ての人達が、(株)エムアンドジーと関わった全ての人達が『あ~良かった~。』と言ってくれる事が喜びになる。」という事でそれを達成するためにやっていこうとしています。

インサイト No.17
2008年10月15日

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